適応障害
適応障害とは、特定のストレス因子によってさまざまな症状が引き起こされる疾患です。人間関係のトラブルや入学・就職・転職・結婚・出産などの大きな生活環境の変化が原因となることが多く、強いストレスとなる出来事から3カ月以内に発症すると言われています。実際に就労したての方の27%、死別を経験した方の18%が適応障害を経験するというデータもあり、誰にでも起こりうる身近な疾患であることは間違いありません。
適応障害の症状
適応障害はストレスの原因がはっきりしていることが特徴で、ストレス環境から離れることで症状が改善するとされています。しかし、現実的にそれが難しい場合も多く、症状が長引くこともあります。適応障害の症状は人によって様々ですが、主に下記のような症状がみられます。
- 身体的症状:
- 動悸、発汗、震え、頭痛、肩こり、不眠、食欲不振、腹痛、身体の疲れが取れないなど
- 精神的症状:
- 気分の落ち込み、涙もろくなる、緊張が強くなる、不安、混乱、いらいら、集中力の低下、無気力、思考力の低下など
- 行動面の問題:
- 学校や会社に行けなくなる、環境になじめない、人と会うのを避ける、家に帰っても休めない、暴飲暴食、普段の性格と違い攻撃的な態度をとるなど
適応障害の診断基準
適応障害の診断には以下の基準が用いられます。
- 明らかなストレス要因に反応して、ストレス発端から3カ月以内に情緒面や行動面の障害がみられる
- 症状は以下のうち少なくともどちらかの証拠がある。
- そのストレス因に不釣り合いな程度の症状、苦痛
- 社会的、職業的などの生活に重要な領域の機能に重大な障害をきたしている
- 他の精神疾患(うつ秒など)の基準を満たさない
- 正常な死別反応でない
- ストレス要因がなくなれば6か月以内に症状が消失する
ここで大切になってくるのは、先に統合失調症やうつ病などの気分障害や不安障害などがある場合は、そちらの診断が優先となります。また、災害や犯罪といった非日常な出来事を体験した後に精神症状が現れた際は、急性ストレス障害と診断されることがあります。
適応障害の治療について
適応障害はストレスの原因がはっきりしていることが特徴で、症状改善にはストレス状態の軽減が最も大切です。そのため、治療の中でも特に、環境調整が重要となります。当院ではストレス要因となっている事柄を明確にし、必要であれば家族や職場の方にも受診に同席していただくことで、サポート体制を整えていきます。また、自宅静養をするだけでも症状の改善が認められることも多いです。ストレス状況が改善しない場合には、症状が悪化してうつ病へと至る可能性もありますので、早い段階で周囲の人に支援を求めることが重要です。
また、場合によっては薬物療法を実施し、症状の緩和を図ることがあります。当院では薬剤は最低限にして、ストレスに対しての環境調整を行うことを重視しています。適応障害の治療においても、抗不安薬、抗うつ薬、睡眠薬などが使用されることがありますが、あくまでも対症療法で留めます。しかし、薬物療法は、心身の症状を緩和させ、ストレスの回避を最小限に留める上で、特に症状が強く出ている場合には非常に有効です。
適応障害は放置しているとうつ病や不安症などそのほかの精神疾患を発症する可能性があるため、早めの受診が大切になります。当院こころの診療所 築地・新富町では、適応障害をはじめとする様々な精神疾患の治療を行っています。上記の症状でお悩みの方は、お一人で抱え込まず当院へお気軽にご相談ください。
みなさまによりよい生活を送れるようにお手伝いしていきたいと思っております。
こころの診療所 築地・新富町 スタッフより