物忘れスクリーニング外来

物忘れが疑われる症状が現れても、「年齢のせいだから」と病院の受診をためらってしまう方は決して多くありません。
しかし他の病気と同様に、物忘れも早期診断・早期治療が非常に重要です。「もしかして認知症?」と思うことがあったら、できるだけ早めに検査を受けましょう。
近年、軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment; MCI)という疾患が認知されるようになりました。
軽度認知障害(MCI)の65歳以上の有病率は10-20%にも上ると言われています。軽度認知障害(MCI)を有する人は、報告に差はあるものの17-32%の割合で正常な認知機能に戻るため、早期発見による早期介入は喫緊の課題でもあります。

早期発見のメリット

1. 認知症は診断技術が近年、大きく進歩して軽度の症状の段階で診断できるようになっています。また、アルツハイマー型認知症に関しては、発症前の段階である軽度認知障害(MCI)を発見して適切な治療を行うことで、アルツハイマー型認知症自体の発症を遅らせる効果も期待できます。

2. 早期発見することでお悩みが深刻になる前に軽減できる可能性が高くなります。当院では日本老年精神医学会専門医が患者様やご家族のお話をじっくりうかがって、病気の状態や今後の展望、治療方針などについてわかりやすくご説明させていただきます。また、公認心理士による詳細な心理検査、カウンセリングなども可能です。

3. 今後起こりうる事象に関して、予測し、その対応を家族が知ることで安心して暮らせます。専門医による診断を受けることで介護保険の申請などの社会資源介護の利用も可能になります。ご家族のお気持ちが穏やかになることは、症状の改善にも良い効果をもたらします。

このような症状が当てはまったら

1. もの忘れの自覚がある

2. 「いつも同じ事を聞く」「ものを置いた場所を忘れる」などの物忘れがあると言われる

3. バスや電車などの公共交通機関を利用した一人での外出が難しくなった

4. 日用品の買い物が難しくなった、お釣りの計算が難しくなった

5. 銀行や預貯金の出し入れが難しくなった

6. 料理の手順がたまにわからなくなる、味付けが変わってくる

7. 言おうとしていた言葉が出にくくなり、「あれ」や「それ」といった代名詞が多くなる

当院における認知機能スクリーニングの流れはこちら

1. 問診

医師・看護師により、詳細な聴取を行います。
例:発症前の生活状況、発症時の周囲の環境変化の有無、発症から現在までの進行の
度合い(進行は緩徐か、急激か、断続的か、変動するか)
既往歴の聴取(頭部外傷、アルコール多飲など)などを行い、スクリーニングの認知機能評価を行います。

2. 血液検査

認知機能障害を呈する場合、時折、血液の異常所見が認められます。
これらの所見を確認します。(ビタミンB1欠乏症・ビタミンB12欠乏症・葉酸欠乏症・甲状腺機能低下症など)

3. 詳細な認知機能障害の評価

当院では公認心理士・日本老年精神医学会認定上級心理士がより詳細な認知機能を評価し、早期発見に努めます。

4. 画像検査

頭蓋内腫瘍や出血性病変などの除外のために画像検査を行います。
当院にはCT・MRIがないため、連携期間への委託となります。

5. 専門医による診断

当院では、日本老年精神医学会専門医・指導医資格を有する医師が、最終的にこれらの結果から診断いたします。