認知症の行動・心理症状(BPSD:Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)とは?
BPSDとは認知症に伴う認知機能障害を基盤に、身体的因子・環境的因子・心理的因子といった様々な要因の影響を受けて出現する行動症状や心理症状を指します。
BPSDの代表的な行動症状としては、徘徊・攻撃性・不適切な行動・抵抗・脱抑制などが挙げられ、心理症状としては、妄想・幻覚・抑うつ・不安が挙げられます。
BPSDは全ての認知症の人に見られるわけではありません。
介護者の負担が大きくなるような、「大声をあげる」、「昼夜を問わず徘徊する」といった症状は、過去には「周辺症状」や「問題行為」と呼ばれてして取り上げられていました。
しかし、実際は、早期に認知症の人の病態を適切に把握し介入することで、BPSDを予防、軽減することが出来るようになります。
例えば、記憶障害を主訴とするアルツハイマー病による認知症の人では、病初期では記憶以外の認知機能は保たれているため、自分に起きている現象を客観視することもできます。
もの忘れに対する不安から、抑うつ的になったり、焦燥感が強くなったりするのは、その人の当然の心理的な反応ととらえられます。
そのような中、周囲からもの忘れを指摘されたり、責められたりすることで、周囲との関係がうまく行かなくなった結果、興奮や攻撃性が高まってしまうのです。
BPSDの理解には、それを出現・悪化させる要因がないか、その人を取り巻く環境に着目することが大切です。
また、後述するように、レビー小体型認知症で見られる幻視や前頭側頭型認知症で見られる常同行動・周徊などは、BPSDとして分類されます。
それらは疾患そのものの症状として出現するので、認知症の原因となる疾患により出現するBPSDも異なることを念頭に置かなければなりません。
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