睡眠障害の症状について
睡眠障害といっても、夜間の不眠=睡眠障害とは一概に言えません。
不眠に加え、それにより日中の機能障害があることが、睡眠障害です。
日中の機能障害は以下のようなものがあります。
- 気分不快・焦り
- 集中力低下
- 不眠に対する心配
- 生活の支障
また、不眠もただ寝付けないだけでなく以下のように症状はさまざまです。
- 入眠困難(寝付けない)
- 中途覚醒(途中で何度も目が覚める)
- 早朝覚醒(朝早く目が覚めてします)
- 介護者がいないとねむれない
といったものが挙げられます。
治療について
睡眠障害の診断基準はさまざまですが、なんといってもまずは原因を突き止めることです。
心理学的要因やメンタルヘルスのみならず、痛みを伴うリウマチや整形外科的疾患、月経前症候群などの婦人科的疾患などの身体的理由で不眠を呈する方もいます。
カフェインやニコチンなどの過剰摂取も不眠の原因となります。
ここで、代表的な睡眠障害をいくつか挙げていきます。
精神生理性不眠症
不眠症の中で最も多いとされていて入眠困難や中途覚醒を呈します。不眠に対する不安(今晩眠れないのではないか)から眠ろうとする過剰な努力(ベッドに入る時間を必要以上に長くする)といったことは誰でも経験することがありますが、それが長く続きます。
結果として、不眠に対する強固な「とらわれ」から悪循環が生じ、慢性化することも多いです。睡眠や不眠に対する過剰な意識を軽減するために、テレビやインターネット、仕事は遅くとも就寝1時間前には切り上げる。携帯電話やスマートフォンなどをベッドの中で利用しない。といった睡眠衛生指導も併用します。
また、必要に応じて薬物療法も行い、徐々に薬の量を減らしていくお手伝いを行います。
心理的・メンタルヘルスに
関連した睡眠障害
うつ病や不安障害を持っている方の不眠の有病率は、80%にも上るとも言われております。これらの方には、まずは原疾患の治療を行います。うつ病を有している方は入眠困難はもちろんのこと、中途覚醒、早朝覚醒といったさまざまな形で現れます。
しかし、多くの臨床の現場では不眠のみに着目し、これらの原疾患の加療がされていないことが多いです。それぞれの原疾患に対する適切な治療をまずは行います。
例えば不眠とうつ病が合併した場合、そのまま放置しておくと予後が悪くなるといった報告もありますので、早期に介入することが必要です。
【参考文献】
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