社交不安障害(社交不安症)の症状について
人と関わるさまざまな状況で強い不安を生じ、日常生活に支障をきたします。
- 人前で話そうとすると緊張する
- 会食が苦手
- 人と関わる状況を避けてしまう
従来は赤面恐怖(人前で顔が赤くなるのが恥ずかしい)、視線恐怖(自分の視線が人に嫌な思いをさせてしまっているのではないかと不安)、対人恐怖(人前で話したり注目されることが苦手)などと呼称されていました。また、書痙といって、冠婚葬祭の時に字が書けないといった症状もあります。
結果として、人との交流を避けてしまうことで、不安がより強くなり、会社や学校に行けなくなって家に閉じこもりがちになってしまうこともあります。
米国では8%、欧州では2-5%の有病率であり、よくみられる疾患ですが、一方で適切な加療を受けているのはそのうち35%のみであり、過小評価されていることも知られています。つまり、緊張しがち、人見知りだからといって適切な医療を受けられていない人が多いということです。
治療について
治療に関しては、焦らずに薬物療法や精神療法(森田療法や認知行動療法)を取り入れ、徐々に環境に適応できるようにお手伝いします。また背景にある他者から否定的に評価されることへの恐怖に対し、段階的にアプローチすることで無理強いせずに、一緒にその対処法を考えていきます。
【参考文献】
Mitsui N, Fujii Y, Asakura S, et al. Antidepressants for social anxiety disorder: A systematic review and meta-analysis. Neuropsychopharmacol Rep. 2022;42(4):398-409. doi:10.1002/npr2.12275
Warnock-Parkes E, Wild J, Thew GR, et al. Treating social anxiety disorder remotely with cognitive therapy. Cogn Behav Therap. 2020;13:e30. Published 2020 Jul 16. doi:10.1017/S1754470X2000032X